給与所得者等再生
支払不能のおそれのある人で、小規模個人再生を利用できる債務者のうち、給与またはこれに類する
定期的な収入を得る見込みがあり、かつその額の変動の幅が小さいと見込まれる人が利用できます。
サラリーマンや公務員等が典型です。
再生計画について債権者の同意は不要であるため、利用できる要件は厳しくなっています。
年収が比較的多い方の場合、給与所得者等再生と小規模個人再生の弁済額を比べると、
給与所得者等再生での弁済額の方が多くなってしまうことがあります。
状況に応じて、あえて小規模個人再生を利用することも検討した方がよいでしょう。
変動の幅が小さいと見込まれることとは年収で2年間比較して5分の1以上の違いがないとき、というのがひとつの目安だといわれています。
ただし、転職就職の結果変動した場合でも、就職後の給与等の変動額の幅が小さいのであれば
申立は可能だと思われます。
弁済額
給与所得者等再生では、
以下の最低弁済基準(基準①)に加え、清算価値基準、2年分の可処分所得も計算し、
最も多い額以上を弁済額として原則3年の分割で支払います。
可処分所得とは、簡単に言うと手取り収入から最低生活費を差し引いた額の2年分で、
源泉徴収票や所得証明書から算出します。
例えば総債務450万円であれば「最低弁済額(基準①)では100万円」になりますが、
「清算価値が120万円」、「可処分所得の2年分の合計が150万円」であったとしたら、
弁済額は150万円になります。
住宅ローン以外の債権額
最低弁済額(基準①)
100万円以下
全額
500万円以下
100万円
500万円~1500万円
5分の1の金額
1500万円~3000万円
300万円
3000万円~5000万円
10分の1の金額
再生計画案の意見聴取
再生計画案について、裁判所は再生債権者の意見を聞きますが、債権者の同意は不要です。
再生計画の認可
裁判所は以下の不認可事由に該当しなければ、再生計画を認可します。
再生手続、再生計画が法律の規定に違反しているとき。
再生計画が遂行される見込みがないとき。将来の収入の問題など。
再生計画の決議が債権者の一般の利益に反するとき。
住宅資金特別条項を定めたときに、住宅の所有権または住宅の所有のための土地を
使用する権利を失うと見込まれるとき。
給与またはこれに類する定期的な収入を得ていないか、その額の変動の幅が小さいと
見込まれる者に該当しないとき。
債権総額が5,000万円を超えるとき。
最低弁済額基準を満たしていないとき。
債権者一覧表に住宅資金特別条項を定めた再生計画案を提出する意思がある旨の
記載をした場合に、再生計画に住宅資金特別条項の定めがないとき。
次のいずれかの場合
・給与所得者等再生の再生計画が遂行された場合、その再生計画認可決定確定の日から
7年以内の申立
・小規模個人再生または給与所得者等再生におけるハードシップ免責が確定した場合、
その再生計画認可決定確定の日から7年以内の申立
・破産(自己破産)手続における免責が確定した場合、その確定の日から7年以内の申立
計画弁済総額が可処分所得要件を満たさないとき
再生計画に基づく返済開始裁判所の認可がなされ、それが確定すれば再生計画に基づく返済を開始していきます。
返済方法は、各債権者指定の口座に振り込む方法になります。